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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
六
「はい、天才だそうでございます」
「だからたぶん、飛道具を持たせたら、きっと巧者だろうと思うんだが……」
「なんにかけたって、下手なものはありませんよ。ところで親方、塩ッぱいほうのお団子を、もう一皿もらってようございますか」
「ああいいよ。たくさんお食べ。……じゃおまえ、こういうものを使えるかい」
「へ、なにをで」
「これさ……」
と卜斎が、羽織の裏から種子島の短銃をだした。
「親方、鉄砲でしょう、それは」
「ウン、スペインわたりの短筒だ。どうだ欲しくないか」
「だって、くれやしないでしょう」
「おまえにやらないこともないさ。まだこのほかに、殿さまからくだされものもたくさんある」
「わたしにですか」
と、蛾次郎は目をパチパチさせて、急に膝ッこの前をあわせた。
「おまえもはや十六歳、たしか、そうだろう。もうここ二、三年で元服をしてさ、一人前の鍛冶なり、一人前の侍なりになる心がけをしなくってはいけない。それには、なにかいい機会をつかまえて、その機をのがさず手がらをあらわすことがかんじんだ」
「はい、あらわします」
「それも、うわの空ではだめだ、目がけたことに向かったら、命をすててかかる気ごみでなければだめだよ」