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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

と、クロはたちまち身をさかしまにして、ツツツツ――と木の葉おとしに降りていく。

「あ、ここはどこかのお宮の庭だな……」

鷲からおりて、しばらくそのあたりをあるいていた竹童は、やがて、拝殿からもれるほのあかりをみとめ、そッと忍びよってみると、たしかに六、七人のささやき声がする。

「いた!」かれは思わず叫んで、

「おじさん! おじさんたち」

呼ぶ声と一しょに、拝殿のなかにいた者は、どやどやと、それへでてきて、七つの人影をあらわした。

「何者じゃッ」と竹童をねめつけた。

「おいらだよ、鞍馬山の竹童だよ」

「おお、竹童か」

ほとんど、そのなかの半分以上の者が、口をあわしてこういった。木隠龍太郎も、忍剣も、民部も蔦之助も小文治も竹童にとればみな友だちだ。

ただ、床几にかけて、かれを見おろしていた伊那丸だけが、すこし解せないようすである。

「龍太郎。そちたちはこの童をよう知っているようじゃが、いったいどこのものであるの」

「さきほどお話しもうしあげました、果心居士の童弟子でござります」

「おおあれか」

伊那丸はニッコリして竹童を見なおした。竹童もニヤリと笑って、ともするとなれなれしく、じぶんの友だちにしてしまいそうだ。