轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
呂宋兵衛は馬からひらりと降り、二、三百人の野武士を指揮して、見るまにそこへ壇をきずかせ、十字架を立て、かがり火を焚いて、いのりのしたくをととのえさせた。
「念珠を念珠を、これへ――」
呂宋兵衛は、まえにもいったとおり、南蛮の混血児でキリシタンの妖法を修する者であるから、層雲くずれの祈祷も、じぶんが信じる異邦の式でゆくつもりらしい。
手下の者から、念珠をうけとったかれは、それを頸へかけ、胸へ、白金の十字架をたらして、しずしずと壇の前へすすんだ。
護衛する野武士たちは、しわぶきもせず、いっせいに槍の穂さきを立てならべた。なかにはきょう味方についた穴山の残党、足助主水正、佐分利五郎次、その他の者もここにまじっている。
壇にむかって、七つの赤蝋をともし、金明水、銀明水の浄水をささげて、そこにぬかずいた呂宋兵衛は、なにかわけのわからぬいのりのことばをつぶやきながら、いっしんに空の星を祈りだした。
すると、どこからともなく、ザッ、ザッ、ザッ、ザッと草をなでてくるような風音。つづいて、地を打ってくる馬蹄のひびき。
「や!」かれはぎょっと、頭をあげて、
「あの物音は? あのひびきは? おお馬だッ、人声だ。