轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
二
顔を見られたと知った覆面は、おどろく男を突ッぱなした。よろりと身をそるところへ、黒装束の腰からさッとほとばしった氷の刃! 男の肩からけさがけに斬りさげた。――ワッという絶叫とともに闇にたちまよった血けむりの血なまぐささ。
「伊那丸さま」
黒装束は、手まねきするやいなや、岩つばめのようなはやさで、たちまち、そこからかけおりていってしまった。
二
下界をにらみつけるような大きな月が、人ひとり、鳥一羽の影さえない、裾野のそらの一角に、夜の静寂をまもっている。
その渺としてひろい平野の一本杉に、一ぴきの白駒がつながれていた。馬は、さびしさも知らずに、月光をあびながら、のんきに青すすきを食べているのだ。
いっさんにかけてきた黒装束は、白馬のそばへくるとぴッたり足をとめて、
「伊那丸さま、もうここまでくれば大じょうぶです」
と、あとからつづいてきた影へ手をあげた。
「ありがとうござりました」
伊那丸は、ほッとして夢心地をさましたとき、ふしぎな黒装束の義人のすがたを、はじめて落ちついてながめたのであるが、その人は月の光をしょっているので、顔はよくわからなかった。
「もう大じょうぶです。