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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

「や、や? ……」

五人の者が、うたがいに、進みもやらずもどりもせず深山笹のしげみに、うろうろしていると、白樺のこずえの少女は、虚空にたかく笛をふって、さっ、さっ、さっと三閃の合図知らせをしたようす。

と思うと、神代川の渓流がさかまきだしたように、ウワーッとあなたこなたの岩石のかげから、いちじに姿をあらわした伏兵。

これなん、咲耶子の一指一揮に伏現する裾野馴らしの胡蝶の陣。

「しまった!」

丹羽昌仙が絶叫した。

とたんに崖のうえから木隠龍太郎が、

「賊徒、うごくな」

と戒刀の鞘をはらって、銀蛇頭上に揮りかぶってとびおりる。発矢、昌仙が、一太刀うけているすきに、呂宋兵衛とその影武者、蚕婆と早足の燕作、四人四ほうへバラバラと逃げわかれた。

と、ゆくてにまたあらわれた巽小文治、朱柄の槍をしごいて、燕作を見るやいな、えいッと逆落としに突っかける。もとより武道の心得のない燕作、受ける気もなくかわす気もなく、ただ助かりたい一念で、神代川の水音めがけて飛びこんだ。が、小文治はそれに目もくれず、ひたすら呂宋兵衛の姿をめざして駈けだした。

一ぽうでは丹羽昌仙、龍太郎の切ッ先をさけるとたんに断崖をすべり落ちて、伏兵の手にくくりあげられそうになったが、必死に四、五人を斬りたおして、その陣笠と小具足をすばやく身にまとい、同じ伏兵の