轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
いきどおろしい、竹童の心は湯のごとく沸りたって、こう叫びながら方角もさだめず、裏宮のお堂を巡り、いましも、斎院の前まであるいてきた。
――すると、かれより六、七歩まえを、だれやら、しずかに、ピタピタと足をはこんでいく者がある。
夜はすでに更けしずんで、さまよう者とてあるはずのないこの境内、さては蛾次郎めが、またわれを盲とあなどってからかうつもりだな!
竹童はかッとなって、こう思った。
しかし、かなしいかな目がみえぬ。すぐそこをピタピタといく跫音を聞くのであるが、ただ一討ちにとびかかってはいかれない。
「おのれ目がみえぬとて、たかのしれた蛾次郎ぐらい、斬って捨てられないでどうするものか」
竹童は、とっさに、地べたへ身をかがませた。
そして、般若丸の太刀を背中にかくし、左の手と膝ではい歩くように、まえなるものの跫音をスルスルとつけてゆく……
一歩――二歩。
さきの者の草履のかかとが、かれの顔へ土をはねかえしてくる近さまで寄りついたので、いまこそと胸おどらした鞍馬の竹童。
猛然と、たつが早いか、ふりかぶった般若丸に風をきらせて、
「覚えたかッ」
とばかり、鉄も切るような一刀、一念の気、盲となってから、それは一そうすさまじいするどさをもって、まえなる人のあり場をねらって、揮りおろした。