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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
ツーと斜線をえがいて落ちていく、小さい物体の行方に、竹童は祈りを送った。
しめた! 狼煙の筒は、うまく、地上に見えるその焔の廓のなかへ落ちた。
と、思うまもあらず、轟然たる青天の霹靂。
筒の中の火薬が破裂して、ドーン! とすさまじい火と灰と炸裂した物体の破片を舞いあげた。
合図の狼煙! それは一倍ものすごい響きをもって、寒松院の並木にいる、伊那丸、忍剣、龍太郎の耳へまでつんざいていったことは必定である。だが――? そのとたんに、ビックリした大鷲は、雷気にあって天空をそれたようにパッ! ――と一陣の風をついて、竹童と蛾次郎をのせたまま、いずこともなく飛びさってしまった。
呂宋兵衛の奥の手
一
さて――。
寒松院の松並木――ここもまだ、朝がすみがこめていた。四条五条へ花売りにでる大原女が、散りこぼしていったのであろう、道のところどころに、連翹の花や、白桃の小枝が、牛車のわだちにもひかれずに、おちている。
並木のこずえには、高々とうたう春の百鳥、大地はシットリと露をふくんで、なんともいわれないすがすがしさ。
かかるところへ、霞のなかから、ポカリと浮きだした一列の人かげがある。