轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

「仏つくって、魂いれぬようなことは、家康、大のきらいじゃ。伊那丸の首と、御旗楯無とをそろえて、持参いたしてこそ、はじめて、まったき一つの働きをたてたともうすもの」

「願わくば、ここ二月のご猶予を、この入道にお与えくださりませ。きっとその宝物と、伊那丸の塩漬け首とを、ともにごらんに供えまする」

梅雪入道は、家康にかたく誓って、そこそこに堺へ立ちもどった。にわかに家来一同をまとめて、領土へ帰国の旨を布令だした。

その前にさきだって、小幡民部の民蔵は、いずこへか二、三通の密書をとばした。はたしてどことどことへ、その密書がいったかは、何人といえども知るよしはないが、うち一通は、たしかに鞍馬山の僧正谷にいる、果心居士の手もとへ送られたらしい。

堺を出発した穴山の一族郎党は、伊那丸をげんじゅうな鎖駕籠にいれ、威風堂々と、東海道をくだり、駿府から西にまがって、一路甲州の山関へつづく、身延の街道へさしかかった。

ここらあたりは、見わたすかぎり果てしもない晩秋の広野である。

――ああそこは伊那丸にとって、思い出ふかき富士の裾野。加賀見忍剣と手に手をとって、さまよいあるいた富士の裾野。