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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

二

「やア、この人穴には、ずいぶんお侍が大勢いるんだなあ。おじさんたちは、いったいそこでなにをしているんだい」

「バカッ」

いきなり革足袋のままとびおりた轟又八、竹童の襟がみをおさえて、

「こらッ、きさまは、どこの炭焼きの餓鬼だ、またどこのすきまからこんなところへしのびこんでまいった」

「しのびこんでなんかきやしないよ、アア苦しいや、苦しいよ、おじさん……」

「ふざけたことをぬかせ、しのびこまずにこらるべきところではない」

「だっておいらは空からおりてきたんだもの、空はいきぬけだから、ツイきてしまったんだよ」

「なに、空から? ――」

人々は思わず、物騒らしい顔を空にむけた。

そして、再び奇怪なる少年の姿を見なおし、こいつ天狗の化身ではあるまいかと、舌をまいた。はるかにながめた、呂宋兵衛は、

「これこれ又八、とにかくふしぎな童、おれが素性をただしてみるから、これへ引きずってこい」

「はッ」と、又八は、かるがると竹童をひッつるして席へあがり、呂宋兵衛のまえへかれをほうりだした。

なみいる人々は、鬼のごとき武骨者ばかりで、あたりは大伽藍のような暗殿である。大人にせよ、この場合、生きたる心地はなかるべきだが、竹童はケロリとして、