轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
そちのような、野盗人の上にはたたぬ。下郎の力をかりて旗上げはせぬ」
「なんじゃ!」と小角のこえはガラリとかわった。
じぶんの野心を見ぬかれた腹立ちと、落人の一少年にピシリとはねつけられた不快さに、満面に朱をそそいだ。
「こりゃ伊那丸、よく申したな。もう汝の名をかせとはたのまぬわ、その代りその体を売ってやる! 織田家へわたして莫大な恩賞にしたほうが早手まわしだ。兵太ッ、この餓鬼、ふんじばって風穴へほうりこんでしまえ」
「へいッ」四、五人たって、たちまち伊那丸をしばりあげた。かれはもう観念の目をふさいでいた。
「歩けッ」
と兵太は縄尻をとって、まッくらな間道を引っ立てていった。そして地獄の口のような岩穴のなかへポーンとほうりこむと、鉄柵の錠をガッキリおろしてたちさった。
うしろ手にしばられているので、よろよろところげこんだ伊那丸は、しばらく顔もあげずに倒れていた。ザザーッと山砂をつつんだ旋風が、たえず暗澹と吹きめぐっている風穴のなかでは、一しゅんのまも目を開いていられないのだ。そればかりか、夜の更けるほど風のつめたさがまして八寒地獄のそこへ落ちたごとく総身がちぢみあがってくる。