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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

焼けだされた狼は、わずか三、四十人の隊伍であったが、なにせよ、武器をもっている命知らずだからたまらない。なかには、呂宋兵衛をはじめ、丹羽昌仙、早足の燕作、吹針の蚕婆までがまじっていた。

あの夜、殿堂へ、煙硝爆破の紅蓮がかぶさったときには、さすがの昌仙も、手のつけようがなく、わずかに、呂宋兵衛その他のものとともに、例の間道から人無村へ逃げ、からくも危急を脱したのであるが、多くの手下は城内で焼け死んだり、のがれた者も、大半は、徳川勢や伊那丸の手におちて、捕われてしまった。

城をうしない、裾野の勢力をうしなった呂宋兵衛は、たちまち、野盗の本性にかえって、落ちてきながら、通りがけの部落をかたっぱしから荒らしてきた。そしてこれから、秀吉の居城安土へのぼって、助けを借りようという虫のよい考え。――ところが、一しょにおちてきた可児才蔵は、こんな狼連につきまとわれては大へんと、いちはやく、とちゅうから姿をかくし、一足さきに上方へ立っていったのである。

三

ここに、一世一代の大手柄をやったのは鞍馬の竹童。

その得意や、思うべしである。

飛行自在のクロあるにまかせて、かれは、燃えさかる人穴城をあとに、ひさしぶりで、京都の鞍馬山のおくへ飛んでかえり、お師匠さまの果心居士にあって、得意のちくいちを物語ろうと思ったところが、荘園