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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

二

「やっぱり、うわさはまことでございましたか。それで、さだめし家康さまもご安心でございましょう。けれど伊那丸や家来のふたりも、なかなか智勇のある者とききましたが、どうしてそんなに、たやすく捕まってしまったのでしょう?」

「いいではないか、そんなこと。早くそれより独楽をまわして見せい」

「はい、いままわします。ですけれど、じつはこのさきの都田川で、そんな高札を見ました時に、仲間の者と賭をしたのでございます」

「じゃ、話してやるから、それがすんだら、すぐに火焔独楽をまわすのじゃぞ」

「ええ、まわしますとも、まわしますとも」

「その武田伊那丸は、まえからほうぼうへ手配をしていたが、なかなか捕まえることができなかった。するとこんど、桑名のほうから、和田呂宋兵衛という者が密訴をしてきた。その者のことばで、伊那丸のとおる道がわかったから、関所に兵を伏せておいて、苦もなくしばりあげたのじゃ。だから、あさっての太刀取りは呂宋兵衛が役をおおせつかって、都田川の刑場で、その三人の首を斬ることになっている」

「ああ、そうですか。いや、それでよくわかりました」

と、さり気なく聞いていたものの、竹童の胸は早鐘をついている。