轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

床几にかけて、茶をすすっていた木隠龍太郎は、それを聞くと、道づれの小文治をかえりみながら、にわかにツイと立ちあがった。

「ひょっとすると、その老人こそ、先生かもしれない。このへんでお目にかかることができればなによりだ、とにかく、いそいでまいってみよう」

「え?」

小文治はふしんな顔をしたが、もう龍太郎がいっさんにかけだしたので、あわててあとからつづいてゆくと、うわさにたがわぬ人群れだ。

両足をふんまえて、狙いさだめた蔦之助は、いまや、プツンとばかり手もとを切ってはなした。

「あ――」と群集は声をのんだ、矢のゆくえにひとみをこらした。と見れば、風をきってとんでいった白羽の矢は、まさしく五重塔の、あやしき老人を射抜いたとおもったのに、ぱッと、そこから飛びたったのは、一羽の白鷺、ヒラヒラと、青空にまいあがったが、やがて、日吉の森へ影をかくした。

「なアんだ」と多くのものは、口をあいたまま、ぼうぜんとして、まえの老人がまぼろしか、いまの白鷺がまぼろしかと、おのれの目をうたぐって、睫毛をこすっているばかりだ。

そこへ、一足おくれてきた龍太郎と小文治はもう人の散ってゆくのに失望して、そのまま、叡山の道をグングン登っていった。