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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
竹童ですら、敵意をわすれて、ぼんやりとその情景をながめていた。
だが、かれの親はどこにいる?
竹童は、さびしかろ。
侠党七士の人々が、御岳のすそ、北多摩のふもとから青毛、月毛、黒鹿毛の馬首をならべて、銀のすすきの波をうつ秋の武蔵野を西へさして去ったのは、その翌々日のことであった。
おなじ日に、泣き虫の蛾次郎は、母親のお時に手をひかれて、坂東何番かのお札所へお礼まいりにのぼっていった。
そして、ひと巡りの巡礼をすましたら、ふるさとの村へ帰るだろう。
うららかな秋の陽の下に立って、まぶしそうに見ていた菊村宮内は、消えてゆく七騎のかげと、手をひかれてゆく母と子と、そのどッちを見おくっても、いい気持がした。
そして、かれもまた、カアーン、カアーンと、地蔵菩薩に鉦を手向けながら、すすきを分ける旅人のひとりとなって、いずこともなく歩きだした。