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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
「ばかをもうせ。それより拙者のほうがきくが、いましがた、大津の町の上をとんでいた鷲が、ここらあたりでおりた形跡はないか、どうじゃ」
「白ばッくれちゃいけない。その手紙をおだしよ」
「この童めッ、無礼をもうすな」
「なにッ、返さなきゃこうだぞ」
と、竹童からだは小さいが身ごなしの敏捷おどろくばかり、不意に蔦之助に飛びかかったと思うと、かれの手から手紙をひッたくって、バラバラと逃げだした。
「小僧ッ――」と追い討ちにのびた蔦之助の烈剣に、あわや、竹童まッ二つになったかと見れば、切ッ先三寸のところから一躍して四、五間も先へとびのいた。
「きゃつ、ただ者ではない」ととっさにおもった蔦之助は、いっさんに追いかけながら、ピュッと手のうちからなげた流星の手裏剣! それとは、さすがに用心しなかった竹童の踵をぷッつり刺しとめた。
「あッ!」ドタリと前へころんだところを、すかさずかけよってねじつけた、蔦之助の強力。それには竹童も泣きそうになった。
「おじさん、おじさん、なんだっておいらの手紙をそんなにほしがるんだい――苦しいから堪忍しておくれよ。この手紙は大切な手紙だから」
「なんじゃ、ではこの書面は汝が持っていた物か」