轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
「だから――わしがせめて、元服をする時節まで、その宝物を、この白旗の宮へおあずけしておこうではないか」
「とんでもないことです。それは物騒千万です」
「いや、あずけるというても、御堂のなかへおくのではない。この湖水のそこへ沈めておくのだ。ちょうどここにある宮の石櫃、これへ入れかえて、沈めておけば安心なものではないか」
「は、なるほど」と、忍剣も、伊那丸の機智にかんじた。
ふたりはすぐ祠にあった石櫃へ、宝物をいれかえ一滴の水もしみこまぬようにして、岸にあった丸木のくりぬき舟にそれをのせて、忍剣がひとりで、棹をあやつりながら湖の中央へと舟をすすめていった。
伊那丸は陸にのこって、岸から小舟を見おくっていた。あかい夕陽は、きらきらと水面を射かえして、舟はだんだんと湖心へむかって小さくなった。
「あッ――」
とその時、伊那丸は、なにを見たか、さけんだ。
どこから射出したのか、一本の白羽の矢が湖心の忍剣をねらって、ヒュッと飛んでいったのであった。――つづいて、雨か、たばしる霰のように、数十本の矢が、バラバラ釣瓶おとしに射かけられたのだ。
さッと湖心には水けむりがあがった。