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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

におとめおきくださるまいか」

「オオ、それはそれはご心中おさっしもうす、武士は相身たがい、かならずお力になりもうそう」

呂宋兵衛は、ひそかによろこんだ。

折もおり、いまのこの場合、二勇士が、場なれた郎党を二、三十人も連れて、味方についてくるとはなんたる僥倖、かれは足助と佐分利に客分の資格をあたえ、下へもおかずもてなししたうえ、にわかに気強くなって、軍議の開催をふれだした。

妖韻のこもった鐘がゴーンと鳴りわたると、鎧を着た者、雑服の者、陸続として軍議室にはいってくる。

そこは四面三十七間、百二十畳の籐の筵をしき、黒く太やかな円柱左右に十本ずつの大殿堂。一ぽうの中庭からほのかな日光ははいるが、座中陰惨としてうす暗く、昼から短檠をともした赤い光に、ぼうと照らしだされた者は、みなこれ、呂宋兵衛の腹心の強者ぞろい。

「わらうべし、わらうべし、乳くさい伊那丸や咲耶子などが、烏合の小勢でよせまいろうとて、なにをぎょうぎょうしい軍議などにおよぼうか。拙者に二、三百の者をおあずけくださるならば、ただひと押しにけちらしてみせようわ」

破鐘のような声でいう者がある。

見れば山寨第一の膂力、熊のごとき髯をたくわえている轟又八だった。