轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

「おや」

と竹童が、なにやらさわるものに手をやると、上より一すじ絹糸のようなものがたれ、襟くびから手にはいまわってきたのは一ぴきの金蜘蛛だった。

キャッというかと思えば、竹童はニッコリ笑っていきなり、蜘蛛を鷲づかみにし、あんぐり口のなかへほおばって、ムシャムシャ噛みつぶしてしまったようす。

「む、む……」と、呂宋兵衛はいよいよゆだんのない目で、かれの一挙一動をみまもっていると、竹童は唇をつぼめて、噛みためていたなかのものを、

「プッ――」と呂宋兵衛の顔を目がけて吹きつけた。

――その口からとびだしたのは、きたないかみつぶしではなくて、美しい一羽の毒蝶、ヒラヒラと毒粉を散らした。

「エイッ」

呂宋兵衛が扇をもって打ちおとせば、蝶の死骸はまえからそこにあった一片の白紙に返っている。

「わかった、きさまは鞍馬山の果心居士の弟子だな」

「だから、竹童という名があるといったじゃないか」

「さてこそ、ものにおどろかぬはず、しかし有名なる果心居士の弟子が、富士の殿堂と知らずに、くるわけがない、なんのご用か、あらためて聞こうではないか」

「ムム、そう尋常におっしゃるなら、わたくしもお師匠さまから受けたお使いのしだいをすなおに話しましょう」