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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
呂宋兵衛の顔色土のごとく変るのを見て、竹童は手をふりながら、
「おどろいてはいけません、それは穴山梅雪の身の上でした。ところで、裏をかえして見ますると、つまり裏の卦、参伍綜錯して六十四卦の変化をあらわします。これによって結果を考えましたところ、今夕酉の下刻から亥の刻のあいだに、昼よりましたおそろしい大血戦が裾野のどこかで起るということがわかりました」
「むウ、それはあたっていた。して、勝負の結果は」
「さればでござります。にわかにわたくしが鷲にのってまいったのもそのため、残念ながらあなたの命は、こよい乾の星がおつるとともに、亡きかずに入り、腹心のかたがたもなかば以上は、あえない最期をとげることとなるそうでござります。これを、層雲くずれの凶兆ともうしまして、暦数の運命、ぜひないことだと、お師匠さまも吐息をおもらしなさいました」
「えッ、なんといった。しからば呂宋兵衛のいのちは、こよいかぎり腹心のものも大半はほろぶとな?」
「そうおっしゃったことはおっしゃいましたが、ここに一つ、たすかる秘法があるのです。お師匠さまは、わたくしにその秘法をさずけ、あなたに会って、あることと交換にして教えてこい、だが、呂宋兵衛はずるいやつゆえ、もしも、こっちできくことをちゃんと答えなかったら、なんにもいわずに逃げてこい――といいつかっ