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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

もどれッ」

とにらみつけた。

すると、焼け崩れの土塀のかげからさらに、りっぱな武将が四、五人の足軽をつれて見廻りにきたが、このていを見ると、つかつかとよってきて、

「才蔵、それは何者じゃ」

とあごでしゃくった。

「ただいま、取り調べているところでござります」

「うむ、お城のご普請中をつけこんで、雑多なやつがまぎれこむようすじゃ。びしびしと締めつけて白状させい」

燕作はおどろいた。

そのびしびしのこないうちにと、あわてて密書を取りだし、

「もしもし、わたくしはけっしてあやしい人間じゃあございません。この通り秀吉さまへ大事なご書面を持ってまいりましたもの、どうぞよろしくお取次ぎをねがいます。へい、これでございます」

「どれ」

武将は受けとって、と見、こう見、やがて、うなずいてふところに入れてしまった。

「よろしい。帰っても大事ない」

「へい……」

燕作はもじもじして、

「ですが、しつれいでございますが、あなたさまはいったい、どなたでござりましょうか、お名まえだけでもうかがっておきませんと、その……」

「それがしは秀吉公の家臣、福島市松だわ」

「あ、正則さま」

と、燕作はとびあがって、