轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
……なにとぞ、おうたがいなくご受納のほどを」
「だまれ、八風斎!」
はッたとにらんだ伊那丸は、にわかにりんとなって、かれの胸をすくませた。
「いかに、汝が、懸河の弁をふるうとも、なんでそんな甘手にのろうぞ。この伊那丸に恩義を売りつけ、柴田が配下に立たせよう計りごとか、または、後日に、人穴城をうばおうという汝らの奸策、この伊那丸は若年でも、そのくらいなことは、あきらかに読めている」
「うーむ……」
うめきだした八風斎の顔は、見るまにまッさおになって、じッと、伊那丸をにらみかえして、眼もあやしく血走ってくる。
「益ないことに暇とらずに、汝も早々、北越へひきあげい。そして、勝家とともに大軍をひきい、この裾野へでなおしてきたおりには、またあらためて見参するであろう。そちの大事がる図面とやらも、そのとき使うように取っておいたがよい」
深くたくらんだ胸のうちも、完全に見やぶられた八風斎は、本性をあらわして、ごうぜんとそりかえった。
「なるほど、さすが信玄の孫だけあって、その眼力はたしかだ。しかしわずか七十人や八十人の小勢をもって、人穴城がなんで落ちよう。敵はまだそればかりか、呂宋兵衛にもましておそろしい大敵が、すぐ背後にもせまっているぞ。