轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

「ええい、この阿呆め、もう、てめえなんぞに、からかっているひまはねえんだ」

ポンと蛾次郎を蹴はなして、脇差をぶちこむがはやいか、ガラリッと土間の戸を開けっぱなして、狼煙のあがった裏の小山へ、いちもくさんにかけあがった。

あとで起きあがった蛾次郎、親の死目に会わなかったより悲しいのか、両手を顔にあてて、

「わアん……わアん……わアん……」

と、手ばなしで泣きだした。

しかし天性の泣き虫にかぎって、泣きだすのもはやいが泣きやむのもむぞうさに、ケロリと天気がはれあがる。

しばらくのあいだ、おもうぞんぶん泣きぬいた蛾次郎は、それで気がさっぱりしたか、プーと面をふくらましてそとへでてきた。と思うと、なにかんがえたか、賽の河原の亡者のように、そこらの小石をふところいっぱいひろいこんだ。

「燕作め! 見ていやがれ」

怖ろしい怖ろしい、低能児でも復讐心はあるもの。蛾次郎が、小石をつめこんだのは、れいの石投げの技で、小判の仇をとるつもりらしい。

燕作がかえってくるのを待伏せる計略か、蛾次郎はギョロッとすごい目をして水車小屋の裏へかくれこんだ。

と、どこまで運のわるいやつ、わッと、そこでまたまた腰をぬかしそこねた。