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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
万千代は、いまもこのとんぼ組の小姓たちの先達となって、しきりに大鷲の背なかへ乗ろうとしては落ち、乗ろうとしては、翼にハタかれて、ぶッたおれた。
足に結びつけた、綱にすがりついている多くの小姓も万千代も、手や足にすり傷をこしらえて血だらけになっているが、さすがに、戦国の少年、三河武士の卵たちである。あくまで鷲と力をあらそって、自由にせずにはおかないふうだ。
竹童は、われを忘れて草の中から立っていた。
独楽だまし
一
草の嵐にうすづく夕日。
日の暮れるのも忘れてしまって、三方ヶ原の奥へ奥へ、鷲にひきずられてゆくとんぼ組のお小姓たち。
鷲をオモチャにしているのか、鷲にオモチャにされているのか、ともすると、あべこべに、空へつるしあげられそうになるのを、からくも、一本杉の根ッこへ、その手綱を巻きつけて食いとめたとたんに、
「あア、くたびれた」
と、ヘトヘトにつかれたこえを合わせながら、
「休もう」
「休もう」
「休んでからまた飛ぼう!」
と、これでも鷲のつばさと一しょに、飛んできた気でいるのだからたわいない。
見ればみな、なつめのような眼をもった、十二、三から十五ぐらいまでの前髪少年。