轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
しかし、それは彼女の目には見えないで、ただ、翼の音にそう感じたのであるが、やがて、もっとはっきりした音が、バサッと、屋根瓦を打つように聞えて、あとはシンとしずかになった。
こんがら・せいたか
一
まるで夢のようだ。一瞬の疾風。
たしかに、竹童の愛鷲クロのようだったが――見ちがいであったかしら? 幻であったかしら? ――と咲耶子はあとのしずかななかで錯覚にとらわれた。
しかし、錯覚ではない。いまの名残の吹きあおられた落葉が、まだ一ひら二ひら宙に舞っているのでもわかる。鷲がこの源氏閣の附近におりたのは事実にちがいない。
とすれば、どこへいったのかしら――と彼女が欄の南側から奥庭の廂をのぞいていると、とつぜん、
キャッ! キッキッキ、キ、キ、キイ……
とけたたましい声をあげて、廂うらの垂木をガリガリと走ってきた小猿が、咲耶子の肩にとびついて手をやるとまた足もとへとび、おそろしくなにかに恐怖したらしく、彼女のまわりをグルグルまわりだした。
大久保長安が下のおく庭に飼っておく三太郎猿。
ときどき、源氏閣にはいあがってきて、幽閉されている咲耶子とは、いつのまにか仲よしになっていたが、今夜も、その仲よしの人のいる三層のうえの棟木へでもきて、腕枕で寝ていたものとみえる。