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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

「ウム、これか」

と長安は、そういわれてなにげなく解いてみると、懐紙をさいて蝶結びにでもしたような紙片。

うっかり開けると、破れそうにまだ濡れている墨色で、それは少年の筆らしく、まことに稚拙な走り書。読みくだしてみると、その文言は――。

お小姓とんぼ組の星川余一、三太郎猿にたくしてご依願申しあげそろ。

お上様のお使いとして、ただいまこの源氏閣の上に着城いたしそろところ、あやしき女人居合わせ、あなたの火を見て、乗りまいりたるクロという鷲をうばい、屋上より逃げ去らん気ぶりにてそろ。

大急ぎにてこの文したため、私もすぐあとより、屋根にのぼり組み止めるかくごながら万一不覚をしては一大事にそろゆえ、若侍衆、一刻もはやくお出合いありたく告げ申しそろ。火急火急。

星に泣く使者

一

はるばる、遠江の国から鷲にのってきたお小姓とんぼ組のお使番――星川余一が、源氏閣のうえに着城早々、なにかよほどな危険に追迫されたらしく、機智の一策、三太郎猿を利用して、石見守長安のもとへ、火急火急と、走り書にすくいをもとめてきた蝶むすびの早文。

読みおわるなり石見守は、いま、着座したばかりの腰をうかしかけて、