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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
「それではまるで、他人がこの城を築いてくれるようなものだ。なぜだ? なぜそんなにして秀吉の住居をみんなして作ってくれるのか」
と、いかにも空とぼけた質問をだして、そばにひかえている片桐、福島、脇坂安治など、ツイせんだって賤ヶ岳で七本槍の名をあげた若い人たちをかえりみたが、またすぐに床几から腰を立てて、
「ウウム、壮観、壮観」
と、港のほうへ小手をかざした。
そこから見ると――
大坂はまだ三郷とも、城下というほどな町を形成していないが、急ごしらえの仮小屋が、まるで焼けあとのようにできている。
そして、百川のすえに青々とすんだ浪華の海には、山陰山陽五畿東山の国々から、寄進の巨材大石をつみこんでくる大名の千石船が、おのおの舳先に紋所の旗をたてならべ、満帆に風をはらんで、宛たる船陣をしながら、四方の海から整々と入江へさして集まってくる。
なるほど壮観だ。
秀吉の目がほそくなる。わかわかしい希望の権化のような顔にいッぱいな満足がかがやく。
さきには、北ノ庄を攻めて、一挙に柴田勝家の領地を攻略し、加賀へ進出しては尾山の城に、前田利家と盟をむすんで味方につけた。