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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

たとえ、才蔵一身に一部の嫉視はのこっても、のちに現出したような、意外な大事にはならなかったであろう。

また、若き人たちの血気を、ことなかれと、きょくりょくおさえ止めていた伊那丸や民部も、なんのくろうなく、大講会二日目の行事を見納めしたにちがいない。

しかし、不測な変事は、いつも、こうして意表外なところから顔をだす。

――この大講会に血を見るなかれ!

――この大講会に邪兵をうごかすなかれ!

神官は祭壇にこう祈祷したが、あのハズミで飛んだ一片の木太刀が、まッたく予想もせぬ風雲を地上から迎えにいったものになろうとは、おそらく、御岳の神の叡智にもわからないのがほんとうであろう。

美女天に遊ぶ

一

さて。

空に高くとばされた栴檀の木太刀。

そのゆくえにつられて、いっせいに、空へ上むきになった群集のひとみは――ハッと一しゅんに、なにか異様なものにつきあたったかのように、

「あッ、あれ――」

と、妙な顔つきになった。

魂を抜かれた顔。

あッ気にとられた目。

現――無我――夢中――の群集。

とたんに、

ドウーッという空鳴りが宇宙をひくく走った。

そして、幕のごときまッ黒な怪物が、日輪の光を雄大な翼のかげにかくし、クルルッ――と巻きあがっていった栴檀刀を目がけて、どこからかまるで魔風のように翔けおりてきたかと見ると、