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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
三
――知らず鞍馬の怪童子、はたして、どんな対策があるだろうか?
三
「あら、あら、あら! コンちくしょうめ」
竹童は、にわかに空でめんくらった。
いや、乗ってる鷲がくるいだしたのだ。――で、いやおうなく、かれが、大声あげて、叱咤したのもむりではない。
「こらッ、クロ、そっちじゃねえ、そっちへ飛ぶんじゃないよ!」
いつも背なかで調子をとれば、以心伝心、思うままの方向へ自由になるクロが、にわかに、風をくらった凧のように、一つところを、くるくるまわってばかりいる。
はるか、多宝塔の上で、呂宋兵衛が、放遠の術気をかけているとは知らない竹童、ふしぎ、ふしぎとあやしんでいると、怪光をおびた一羽の大鷹が、かッと嘴をあいて、じぶんの目玉をねらってきた。
「あッ」
竹童はぎょッとして、鷲の背なかへうっぷした。――とクロは猛然と巨瞳をいからし、鷹をめがけて絶叫を浴びせかける。らんらんたる太陽のもと、双鳥たちまち血みどろになってつかみあった。飛毛ふんぷんと降って、そこはさながら、日月あらそって万星うずを巻くありさまである。
「えいッ」
そのとき竹童、腰なる名刀がわりの棒切れ、ぬく手もみせず、怪光の鷹をたたきつけた。