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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

天雷くだるかの大音声。

むらがる剣を雑草ともおもわず、押しかかる槍ぶすまを枯れ木のごとくうちはらって、縦横無尽とあばれまわる怪力は、さながら金剛力士か、天魔神か。

時をおかず、またもやこの一角へ、どッと黒鹿毛の馬首をつッこんできたのは、これなん戒刀の名人木隠龍太郎、つづいて、朱柄の槍をとっては玄妙無比な巽小文治のふたり。

紫白の手綱を、左手に引きしぼり、右手に使いなれた無反りの一剣をひっさげた龍太郎は、声もたからかに、

「それにおいであるのは小幡民部殿か。木隠龍太郎、小太郎山よりただいまご助勢にかけむかってまいったり。木ッ葉武者どもは、拙者がたしかに引きうけもうしたぞ」

黒鹿毛の蹄をあげて、無二無三にかけちらしながら、はやくも鞍上の高きところより、右に左に、戒刀をふるって血煙をあげる。

「いかに穴山入道はいずれにある。巽小文治が見参、卑劣者よ、いずれにまいったか」

十方自在の妙槍をひッ抱え、馬に泡をかませながら、乱軍のうちを血眼になって走りまわっていたのは小文治である。

「うぬ、小ざかしい、いいぐさ」

その姿をチラと見て、まッしぐらにかけよってきた四天王の猪子伴作は怒喝一番、