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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
燕作は、すぐ竹童をひっかかえて、法師野にいる呂宋兵衛のところへかけつけようとしたが、ふと気がつくと、いまの格闘で、さっき蛾次郎からせしめた小判が、あたりに山吹の落花となっているので、
「ほい、こいつをすてちゃあゆかれねえ」
あっちの三枚、こっちの五枚、ザラザラひろいあつめていると、突! どこからか風をきって飛んできた石礫が、コツンと、燕作の肩骨にはねかえった。
「おや」
とふりむいたが、竹童は気絶して横たわっているし、ほかにあやしい人影も見あたらない。どうもへんだとは思ったが、なにしろ大せつな小判をと、ふたたびかき集めていると、こんどはバラバラ小石の雨が、つづけざまに降ってきた。
「あ、あ、あいたッ!」
両手で頭をかかえながら、ふとあおむいた燕作の目に、そのとたん! さッと舞いおりた大鷲の赤銅色の腹が見えた。
首尾よく、鷲ぬすみをやった泣き虫の蛾次郎、その上にあって、細竹の杖を口にくわえ、右手に飛礫をつかんで、
「やい燕作、やアい、燕作のバカ野郎。さっきはよくも蛾次郎さまの金を、いかさまごとで、巻きあげやがったな。その返報には、こうしてやる、こうしてやる!」