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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
ひとり探す子・ふたりの子
一
「はてな、さようでございましょうか」
「魯鈍、魯鈍、そちはこんなにくわしく話されてもまだ感づかないのか」
「でも、あまりふしぎに思われますので」
「なにがふしぎ」
「お上には昨夜ご酒宴で、いたくお酔いあそばしました」
「ウーム、よいきげんだった」
「拙者はつぎの宿直の間にひかえておりましたが、鼾声雷のごとく、夜明けまでお目ざめのようすもなかったのに、なんとしてそんなことがおわかりでございましょうや」
「ウム、一理あるな、ではじつを申さねばなるまい、まことは昨夜その伊賀者の潜入を知ったのはかの源次郎が働きじゃ」
「源次郎と申しますと?」
「お、家臣の者ではないから、そちはまだ知らぬとみえる。かの信州上田城から質子としてきている真田昌幸のせがれ源次郎がことじゃ」
「それなら、うわさにうけたまわっております」
「で――こんどの兵学大講会だが、その真田源次郎、まだ二十歳にならぬ若年ものとはいえ、父昌幸、兄信幸にもまさる兵学者、一つあれをやろうと思うがどうだ」
「よろしかろうとぞんじます」
「それに加えて、そちの家来可児才蔵」
と、秀吉はじゅんに指を折りだして、
「虎之助のかわいがっておる井上大九郎、この三名をつかわそう。