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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

三

小幡民部はあいかわらずいたって無表情にながめているし、伊那丸も冷静なること、すこしも変っていなかったが、うるさいのは竹童。

「強いなあ、才蔵さまはまったく強い。あれは福島市松の家来でおいらはあのおじさんを知っている! あのおじさんと口をきいたことがある!」

と、ひとりごとにこうふんしている。

ざんねんそうに、腕をさすっていたのは、朱柄の槍をかついでいる巽小文治で、

「ウーン、おれも試合にでてみたい!」

「だめだ」と、蔦之助が、それをうけて、

「どうしても、若君からお許しがでない」

「もういちど、お願いして見ようじゃないか」

「じゃ、貴公がいって見たまえ」

「蔦之助、おまえから一ツお願いしてみてくれ、たのむ、拙者はもうがまんができない」

と、コソコソささやいているのを耳にはさんだ忍剣、じつは、自分じしんが、だれよりもさっきから腕をウズかせていたおりなので、

「民部さま、蔦之助や小文治が、あのように申していることゆえ、なんとか若君におすがりして、試合に加わることお許しくださるよう、一つお取りなしを願いたいものでござるが……」

民部は、忍剣の心を読んでいるように苦笑して、