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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
――とすれば、同時に遠矢の勝敗も歴然と分明いたすことになる」
二
名案だった。
それはよかろう――というので、すくその紛糾は解決したが、ここにまた番組変更のやむないことができたというのは、そこへ徳川家の侍がとんできて、
「例の、老女修道者でございますが、たッたいま、何者かにしたたか腰をうたれて熱をはっし、ひどくうめいておりますので、吹針の試合にはでられぬようすでござります」
という急報である。
忍剣は、かげで、それをおかしく聞いていた。
石見守の腹では、吹針の試合ではしょせんあの老女に勝目はないと考えていたので、この出来事はもっけのさいわいと思った。
で、その試合を取り消すことを申しでたので、龍太郎や忍剣もかたすみで相談のうえ、あらためて、こういう返答をかれにあたえた。
「――されば、幻術試合の相手にでる竹童も、きょうはすこし気分のすぐれぬようすであるから、いっそ二番の勝負を取り消して、最終の遠駆試合一番にて、やくそくどおり咲耶子をお渡しあるか否か、乾坤一擲の勝負を決めるならば、それにご同意いたしてもさしつかえはござらん」
「なるほど」石見守は考えていた。