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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页
築城の縄取り盗み
一
大和川、淀川の二水をひいて濠の長さを合計すると三里八町とかいうのだから、もって、いかにその大げさな築城かがわかるであろう。
「ほウ、またきょうも、だいぶ大石が集まってくるな」
と、秀吉は、子供のようにごきげんがよい。
本丸の庭先になる山芝の高いところに床几をすえこんで、浪華の入江をながめている。
派手な陣羽織に、きらびやかな具足。
服装はりっぱだがからだの小さい秀吉、床几から立っても五尺せいぜいしかあるまい。それでいて、こんな大きな城をつくって、まだじぶんの住居にはせまいような顔をしている。
片桐市正且元、床几のそばに膝をついて、
「さようでござります。今日の入船は大和の筒井順慶、和泉の中村孫兵次、茨木の中川藤兵衛、そのほか姫路からも外濠の大石が入港ってまいりますはずで」
と、答えた。
「あの堺のほうからくる船列は?」
「三好秀次からご寄進の檜船ではないかと思われます」
「小田原の北条からも、伊豆石の寄進をいたしたいと、奉行へ申しいであったそうだな」
「家康どのからもご領地の巨木や人夫、おびただしい合力でございます」
「あはははは」
秀吉はたわいのない笑い方をして、