轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

「少年倶楽部」1925(大正14)年5月号~1928(昭和3)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 页

青空文庫

「大へんだ! わたしを入れて、はやくあとを閉めておくれよ」

ころぶようにたおれこんだ蚕婆、いつものし太さに似ず、いきた色もしていない。

「おお裾野の見付婆、大へんとはなんだなんだ」

一せいに色めきたつ人々を見まわして、蚕婆は歯をむきだして、がなッた。

「なんだもかんだも、あるもんか、はやくはやく、さきに門を閉めなきゃ大へんだ、いまわたしのあとから忍剣と小文治というやつが追っかけてくる!」

「えッ、伊那丸の旗本がおいかけてくるッて? それは、ここへか、こっちへか?」

「くどいことはいっておられないよ、あれ、あの足音がそうだ! あの足音だ!」

「それッ、かたがた、はやく門をとじて厳重にかためてしまえ」

「やア、もうそこへ姿がみえた」

「閂はどうした!」

「くさりをかせ! 鎖を!」

「わーッ、わーッ」

――ととつぜん、暴風にそなえるように、うろたえた手下どもは、扉へ手をかけて、ドーンという響きとともに、間道門を閉めてしまった。

「むねんッ」

と、その下にふたりの声。ああ、たった一足ちがい――

蚕婆を追いつめて、人穴城のかくし道をきわめてきた忍剣と小文治は、いでや、このまま城内へ斬って入ろうと勢いこんできたところを、内からかたく閉められてじだんだ踏んだ。